太田肇教授の新著を読んで。
前回の投稿で、
今の日本が抱える諸問題
先進国の中で、日本が突出して「生産性」が低いこと
先進国の中で、日本がぶっちぎりで「エンゲージメント」が低いこと
これを解決する唯一の処方箋は、
今までの「メンバーシップ」雇用をやめて
欧米を見習って「ジョブ型」雇用に変えていくしかないんだ
という論調に疑問を呈しました。
そもそも、ジョブ型雇用というか、職務給制度の光の部分しか見ていないんじゃない?と思うんです。
従業員の勤続年数にかかわらず、成果や実力などの職務評価をもとに給与を決定する制度だから
若手の抜擢、即戦力の外部人材をスカウトしやすくなる
従業員の成長意欲を高め、モチベーションアップにつながる
確かに、その通りです。
反面、職務給を導入するということは、従業員一人ひとりにジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、具体的な職務の内容を特定しないといけません。
毎年毎年、全従業員の職務記述書を作成できますか?
無茶苦茶大変です。
仮に頑張って毎年作っても、ここに記述してない業務が出た場合はどうなるでしょう?
制度設計上、誰もしなくていいことになってしまうんです。
また、該当する職務がなくなったら、その従業員はお払い箱になっても文句が言えません。
解雇権濫用法理がある日本で、こんな事したらえらいことになりませんかね?
スキルのない新入社員は、どうなるでしょう?
たぶん、正社員以外の、いわゆる非正規となり経験を積んだ上で正社員を目指すことになるでしょう。
これらのことは、現状の日本社会に受け入れられるでしょうか?
このことを、太田教授は
たとえるなら古い伝統が残る農村社会に欧米人が移住してきて、欧米流のライフスタイルを貫こうとするものだ、と表現されてます。
まさに、その通りです!
無理があるんです。
(次回に続く)