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定年後の賃下げは、許されないのか?(その3)

では、この判決を受けて、どうすべきか?

前回の続きです。

高裁判決を受けて、

「定年後、同じ仕事をさせても、ある程度なら賃下げはいいんだな」と考えるのは早計です。

訴えられた会社は運送業者であり、正社員と有期契約社員とで運転業務という点で職務に差を設けることが困難であり、中小零細企業で事業所が1ヶ所しかない、という特色があるからです。

労働契約法20条において、有期・無期契約労働者間の労働条件の相違が不合理なものと認められるか否かは、

①職務の内容

②配置の変更の範囲

③その他の事情

を、総合的に判断されます。

やはり、定年後も「職務の内容」に差がないのに、合理的な理由なく賃下げするのは危険です。何故この金額まで下がるのか、合理的で客観的な理由がないといけないでしょう。

正社員は転勤があるが、有期契約社員にはない等の配置転換の差異があるか否かも重要な要素です。

むしろ、定年後の雇用契約において「評価基準」を明確にして、なにを、どこまで、頑張れば賃金が上がるんだと、従業員のモチベーションを高めるような施策をとることが、トラブルを未然に防ぐ有効な手段となるでしょう。