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定年後の賃下げは、許されないのか?(その2)

経営者にとって、なぜ判決が腑に落ちないのか?

前回の続きです。今回は、難しい法律論は抜きに私見を述べたいと思います。

なぜ、同じ裁判で正反対の判決が出たのか?皆さん、正直なところ不思議じゃありませんか?

そもそも経営者の方にとって理解しがたいのは、平成25年4月1日施行の高年齢者雇用安定法の改正において、お国の政策に協力してあげたのに、という意識がぬぐえないからだと思います。

改正の内容としては、

①60歳定年の場合は、原則希望者全員65歳まで継続雇用

②65歳以上の定年制を導入

③定年制を設けない

このいずれかを選んで、就業規則等に定めなさいというものでした。現状としては、8割以上の事業所が①を選択しています。

しれっと、いかにもこうすることが当たり前のように「指導」してきましたが、お国の年金行政の「つけ」を事業所に押し付けたというのが実態だと思います。当初60歳から年金開始だったものが、順次65歳支給開始へと「変更」されていくようになったため、国としては「無年金者」をなくしたかったのです。

そもそも、優秀な人であれば役員となり定年なんてありませんし、役員にならなくとも優秀な人は好待遇で後進の指導のため嘱託社員として残ってましたし、退職しても新興企業に役員待遇で迎えられていました。個人的には、国があれこれ指導するのは、大きなお節介と思います。

最初の話に戻りますが、なぜ地裁と高裁の判決が180度変わったのか?

あくまでも私見ですが、ここのところの事情を、裁判官の方がどの程度斟酌して、その上で「労働契約法20条」を適用したかの差が出たのだと思います。

次回は「労働契約法20条」の内容について解説し、今後どう対応したらいいのかについて私見を述べたいと思います。